2024年6月9日放送の情熱大陸は松下洸平特集。
松下洸平さんご本人も待望の情熱大陸です!と自身のSNSで喜びをあらわにしていました。
地上波も良かったのですがTVerでは未公開シーンも配信されました。
貴重なインタビューがまるっと抜けていましたよ。
映像を載せることはできないので、できる限り書き起こしました。
松下洸平in情熱大陸/配信限定拡大版の書き起こし
流れに乗っている。
松下洸平にとって少々の無理は承知だ。
とある焼肉屋ー長岡フェス
インタビュアー)きのこ類ダメなんですか?
しいたけとしめじが食べれなくて、でもエリンギは食べれたりとか、ちょっとややこしい舌を持ってます。w
ようやく注目を浴びるようになっておよそ5年。
今や彼の存在感は群を抜いている。
飾らないキャラクターも人気の理由だろう。
松下にはもう一つの顔がある。
俳優より先に夢見た音楽の道にも光が差し始めていた。
大きく変貌していく人生に戸惑いがない、と言えば嘘になる。
自分の才能とか自分の限界ってわかんないから、まだまだ不安です。
たからこそ懸命に。
去年10月長岡。
松下は音楽フェスのステージを控え、呼吸筋のトレーニングに励んでいた。
普段からこうしたこういったボイトレを欠かさない。
続いてアスリートを思わせるウォーミングアップ。
体を温めておくことが大事と本人は言うが、思いのほか真剣な姿に驚かされた。
何しろたっぷり30分は続いたのだ。
イ)けっこうしっかりアップされるんですね。
一回心拍数をマックスに上げて一回汗かいてからじゃないと、ちょっと不安で。
それくらいやらないと不安で。
声出なかったらどうしようとか。
逆にコレやっとけば、大丈夫なんで。
かつて一度は諦めた音楽の世界。
目の前に開かれている可能性を逃したくない。
水族館でMVの撮影
閉館後の水族館でミュージックビデオの撮影が行われた。
水槽の魚を眺めて一言「おいしそう」
撮影後、22時10分。
ふぁードキドキするね。見られない、Twitterでエゴサしといてくれ。
今日ドラマの初回放送日なんで、今ドキドキしてるんですよ、緊張してる。
すっごいエゴサしたい。
すごい不安がある。みんなが楽しんで見てくれてるかどうか
取材中、しきりに口をついた言葉「不安」
それには理由がある。
1987年東京都八王子市生まれ。
画家である母の影響で美術系の高校へ進む。
しかし映画「天使にラブソングを2」に感動し、歌手を志した。
さすがに音楽をやりたいって言ったときはめちゃくちゃ反対されましたよ。
高校まで美術科で、もちろん美大に進学するつもりで僕もいましたし、親もそのつもりで育ててますから。
でも僕の気持ちは動かなかったから。
絶対売れるって思ってましたね。
ヤバくないですか?
2008年ペインティング・シンガーソングライター洸平として、21歳でデビュー。
ところが満々だった自信はもろくも砕かれてしまう。
デビューしてからマジで膝から崩れ落ちましたからね。
こんなはずじゃなかった、と思って。
ライブやったって人いないし。
そのライブ昼夜公演だったんですよ。
昼(お客が)一人じゃないですが。夜どうなんねんってなって。w
オレその夜公演のライブに地元のツレいっぱい呼んじゃったんですよ。
したらステージ出てったら、マジで僕の友達しか座ってなかったんで…
猛烈に恥ずかしかったです。
マジで恥ずかしかった。
気を使って「良かったよ」って言ってくれましたけど。
そっから、自分の思い描いてた未来には全然いないんだなゾーンが始まったというか。
そこから10年が過ぎたころ。
舞台演出家、栗山民也に鍛えられてきた松下はようやく脚光を浴びる。
第26回読売演劇大賞 杉村春子賞・優秀男優賞
第73回文化庁芸術祭演劇部門新人賞
いくつもの賞に輝き強い追い風になった。
2019年NHKの朝ドラ「スカーレット」への出演で一気にブレイク。
2021年の「最愛」では情に厚く一本気な刑事を演じて役の幅を広げた。
2024年(今年)4月スタートの「9ボーダー」には、ミュージシャンの横顔を活かしたギターの弾き語りシーンも用意されていた。
松下には俳優として心がけていることがあるそうだ。
不思議な仕事なんでね、個性が大事だと言われることもありますけど、でもそれを武器にしたくはないし、できるだけ普通ではいたい。
全国ツアーのリハーサル
ドラマの世界でポジションを築いて以来、音楽によせる想いも再燃。
だから日々は目まぐるしい。
全国ツアーのリハーサルが待っていた。
かつての苦い経験に対するリベンジでもあるのだろうか。
もちろんここでも本気度は変わらない。
自分たちが楽しむこと、それが人を楽しませる最低条件だ。
大河ドラマ「光る君へ」周民役
別の日にはNHKのリハーサル室へ。
念願だった大河ドラマへの出演が決まり、収録が近づいていた。
相変わらず難しいです。時々口に出してやってみたりとかはしたんですけど、
中国語の先生)使わないとすぐ忘れちゃうでしょ。
ほんとそうですね。
演じるのは若くして中国へ渡った日本人医師。
発音の細部までおろそかにはできない。
演技を考えるより先に、まず中国語のセリフを覚えなけれなならなかった。
中国語がね、あれどうやって覚えたらいいだろう。
今も一所懸命にやってるんですけど、ちょっと途方に暮れてます今。
覚え方がわかんない!
丸暗記なんで、音で覚えるしかないんで…
昨日も夜、覚えてたんですよ。
一所懸命覚えてたんですけど、次の日起きたらまた言えなくなってて…恐ろしい…
ちょっと頑張んないと、ヤバいっすね。
イ)日本語のセリフ覚えは得意?
まぁ割と、早い方だとは思いますね。
舞台やってたんで。
イ)元々人前に出ることが好きだったり興味があったりした?
子供の頃から割と好奇心旺盛だったし、目立ちたがりやだった気がします。
リーダーシップ取ったりはできないんですけど、人といるのは好きだったしみんなでワイワイしてるのは好きだったから、そういう意味では。
みんなの前で率先してふざけたりとかしてたかなぁ。
その明るさがあったから、小学生の時の学芸会でクラスでお芝居やったときに主役に抜擢されて、6年生のとき。
そのときに人前で何かすることの楽しさみたいなものを、ちょっと覚えたような気がする。
別にそのときは俳優になろうなんて思ってはいなかったですけど、でもみんなが見てくれて自分がやったことで拍手してくれる感覚…なんかぞくっとした記憶は覚えてますね。
全国ツアー初日の下見→本番
2度目のデビューから3年。
ステージは着実に上がっている。
その分不安は膨らんでいるはずだ。
でも自ら選んだ二刀流。
会場の楽屋でも大河の台本を開く。
マネージャーを相手に中国語の長台詞を練習。
あー、左大臣ってなんだっけ?
俳優もミュージシャンも、気を抜けばいつ失速するかわからない。
どこまで真剣に今と向き合えるか、頼みの綱はやはり自分自身だった。
全国ツアー初日、チケットは完売だった。
俳優、松下を通して彼の音楽に惹かれたファンも多い。
16年前、小さなステージに立ったとき、お客は一人しかいなかった。
今、目の前の現実を松下はどんな思いで見ているのだろう。
それでも充実を噛みしめるのはひとときだ。
明日はもうドラマの現場が待っている。
大河ドラマの収録日
イ)役作りはどのように進めていくんですか?
(セリフを)読んでなんとなくこういう感じかなって思ったことを、監督に話してすり合わせていくっていうやり方でいつもやってます。
僕の独断では決めないようにはしてて、自分でも正解がわかんないと自信持って言えないし、探り探りになっちゃうんで。
探り探りしゃべってる顔ってやっぱ映っちゃうんで。
ぬかりなく稽古して、これなら大丈夫って思えるところで勝負しないと、土俵に上がれないような気がする。
と言いつつめっちゃ不安ですけどね。w
イ)そうなんですね
でも自分にしかできないことやりたいじゃないですか。
せっかくこういうお役をいただいてるんで。
松下洸平に演らせて良かったなって言ってもらいたいから。
(セリフを)覚えるのは当たり前。
そこからどう攻めていくのかっていうのはホントに僕にかかってるんで。
スケジュールの合間をぬって練習してきた中国語。
ぎりぎりまで磨きをかけた。
懸案の長台詞はカメラ位置を変えて2回。
いづれもワンカットで撮る。
そう聞かされるとかえってファイトが湧いてくる。
やがて紫式部となるまひろと知り合ったばかりという設定。
セリフの娘はまひろのことを指す。
伏した姿にまひろを利用する葛藤を滲ませた。
監督:好きとか嫌いとか二元論の話ではないと思ってるんですけど、(まひろを)ちょっといいと思ってるんですよね。
完全に利用だけすればいいという感情だけではないと思っていて、そのことを(頭を)下げた後に一瞬思い出せないかなと思ったんです。
松:一瞬よぎったとしても…?
監督:打ち消していい。一瞬よぎるのは入れたい。
監督は頭を下げた松下が、まぶたを閉じる演技をほんの少し強調して欲しいとリクエスト。
「ブラボーブラボー」
松下の不安を、監督の言葉が吹き消した。
充実を噛みしめるのはひとときでいい。
明日はもう次がある。
2024年3月14日ガーデンシアター
2ヶ月に渡った14公演の全国ツアーが、ついにこの日ファイナルを迎えた。
会場を埋め尽くしたのは6000人のファン。
アンコールに飛び出す直前だった。
まだ手震えてる。
なーんでこんな緊張してるんだよ。w
冗談めかして落ち着こうとする姿を初めて見た。
そして一つの旅が終わる。
イ)なぜ手が震えていた?どういう緊張?
それは関係者の人が多いから。w
なんかすごい俳優さんとか女優さんとかすごいいっぱい観にくるからコワくて。
普段見せない姿を見せてるから、どう思ってるんだろうとか、楽しんでもらえてるかなとか…
同業だから「別に俳優だけやってればいいんじゃない?」って思われてたらどうしようとか、いろんなことを考えちゃうんですよ。
でも今日やって6000人の前で歌えたから、じゃあもうちょっと先の景色も見てみたいなとかも思うし、そういう欲とか承認欲求じゃないけどみんなに見て欲しいとか、みんなと一緒に共有したいという想いがある限りは、両立してやりたい。
俳優業も音楽業も続けていきたい。
欲張りなんですよ。
だから、うん、もうちょっとやります。
UOMOの企画・台湾
雑誌の企画で台湾に飛んだ松下は、現地メディアの取材を受けた。
メディア:俳優業と音楽活動をどのように両立していますか?
両方とも僕にとっては大切なもの、音楽も俳優業も。
メディア:恋人にしたいランキングのほか結婚したい婿にしたい、にもランクインしていますがご自身はランキング結果をチェックしますか?
チェックしますよw
会場爆笑
でもなかなか1位になれなくて。
昔だったらまだ仕事がなくて、そういうランキングに名前が載ることもなかったことを考えると、10位以内に自分の名前があること自体が僕にとって奇跡みたいなものなんで、ホントに感謝ですね。
その夜、見知らぬ街を気ままに歩ける時間が手に入った。
いつか台湾でもライブやりたいなと思ってて。
台湾の人がどれくらい僕のこと知ってんのかわかんないからちょっとなんとも言えないですけど。
でも今日一日台湾の街歩いてて、台湾の人に声かけられること一回もなかったからwちょっとまだまだだなと思って。
張り詰めた毎日を駆け抜けながら、徐々に心境が変化してきたという。
ライバルはだれですか?っていう質問されたときに、いつもめちゃくちゃカッコつけて「自分自身です」みたいなことをよく言ってたんです。
「ライバルは自分です」みたいな。
それもどうなのかなと思って。
自分が自分のことを認めて許してあげないと、やってけないんじゃないかなとこの仕事はってちょっと思うようになってきて。
イ)何かきっかけがあってそう思うようになったんですか?
しんどくなったんだと思います。
できない自分を責めるのが。
責めてきたからずっと。
情けないなぁ、なんでこんなことができないんだ自分!
もっとガンバレよ自分、とか自分で自分のケツを叩いて前に進んできたのに疲れたんだと思います。
このやり方って大丈夫?って思って。
もつちゃんと、あと何十年もやってかなきゃいけないのに。
だったらできない自分がいるのをちゃんと認めて、時にはそいつのことおんぶしながら一緒にやってった方がいいんじゃないかなぁって。
いろんなもう一人の自分がいるんですよね。
理想を追い求める自分とか、不器用な自分とか、できない自分とか、カッコ悪い自分とか、情けない自分もいっぱいいるし。
でもそいつを責めるのはもうしんどくなっちゃって。
完璧な人なんかいないですからねー。
よく言われるんですよ、なんでもできて器用ですね、的な。
マジでそんなことないですから。
全然できないことだらけなんでね。
不安を飼いならす松下洸平。
その地平はどこまでも広い。
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