2024年8月23日
待ちに待った映画「ラストマイル」が公開されました。
ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」とのシェアード・ユニバース・ムービーとのことでも話題です。
そして2つのドラマが大好きな個人的な感想も綴っていきます。
ネタバレもふんだんに含むので、ネタバレされたくない方はそっとこのページを閉じましょう。
11 月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、
世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。
やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。
巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。
誰が、何のために爆弾を仕掛けたのか?
残りの爆弾は幾つで、今どこにあるのか?
決して止めることのできない現代社会の生命線 ―
世界に張り巡らされたこの血管を止めずに、いかにして、連続爆破を止めることができるのか?
すべての謎が解き明かされるとき、この世界の隠された姿が浮かび上がる。
まず総評としては「こんな濃密な映画を観たことがない」です。
たった4日間の出来事だったとは思えないほど。
次々に爆破が起こり、関係各所が対応に追われ警察が動きます。
なので展開が速く情報量も多く、気を抜くとあっという間に取り残されそう。
なのにそこはさすがの野木脚本で、最後はすっきり終わっているところがスゴイです。
ラストマイルの主人公はセンター長の舟渡エレナと、チームマネージャーの梨本孔。
舟渡エレナが着任してすぐに1件目の爆破が起きます。
デイリーファーストからの荷物があるアパートの一室に届けられると、荷物を住人が開けたであろうタイミングで爆発。
この爆発する直前の2,3秒部屋の中が赤く明るくなったのが気になりました。
(これも伏線でしたね)
連続してデイリーファーストかの荷物が爆発していることから、センター長のエレナとチームマネージャーの梨本は対応におわれることに。
普通なら緊迫した状況に二人協力して対処していく奮闘劇が始まるのかと思いきや、まったくそうはありません。
エレナの上司・五十嵐道元 (ディーン・フジオカ)は責任をエレナに押し付ける気満々で、対してエレナも全く引けを取りません。
エレナもエレナで警察さえ利用する勢いで、物流を止めまいと必死。
つまり物流を止めた責任を負いたくない。
結果しわ寄せがくるのが、下請けの配送業者・羊急便やさらに下請けの配達人たち。
きっと誰もがこのデイリーファースト社を見ればAmazonを想起するでしょう。
この巨大企業vs下請け企業の問題を赤裸々に描いている部分です。
爆弾テロの犯人は、デイリーファースト社に恨みがあると推察できます。
1個めの爆弾が配達される前にSNSに投稿された予告よると爆弾は1ダース。
つまり12個。
一体誰がどうやって荷物に爆弾を仕掛けるのか。
これがこの事件の最大の謎です。
エレナと梨本が二人で思案している最中エレナがこう言います。
本当は爆弾は11個なのでは?そうすればあと1個、ないはずの爆弾を私達は永遠に探すことになる。
私が犯人ならそうする。
このセリフと満島ひかりの表情から、ひとさじの狂気を感じて「え?エレナが犯人?」と一瞬思ってしまった。
ただ次の場面では、エレナが唐突にとある社員のデータを消します。
山崎というその社員はなんと中村倫也!
事前に知らされていなかったキャストなので、この山崎が犯人⁉️という邪推が頭の中で走ってしまう。
山崎は5年前まで同じ倉庫で働いていたチームマネージャーでした。
5年前この倉庫で飛び降り自殺未遂を起こしており、現在植物状態で入院中。
つまりこの犯行は不可能。
次に捜査線上に浮かんできたのはその彼女。
山崎は自殺前に「ブラックフライデーが怖い」と彼女に言い残しています。
つまり精神が病むほどの労働環境で、自殺はデイリーファースト社の責任。
しかし巨大企業はあの手この手でその責任を回避しておりどうしようもない状態。
思い余った彼女はアメリカにあるファーストデイリー本社まで行くのですが、結局話しができたのはエレナだけでした。
エレナもそこまで権限のある人物ではないため、どうしようもできないと言ってしまいます。
それが後々こんなことになるとは。
爆弾は5個爆発した状況で、残りを見つけるために警察やら羊急便がてんやわんや。
特に羊急便と配達員たちの切迫感が見ていて苦しい。
しわ寄せはどんどん弱い方へと大きくなるようで。
ただ巨大企業で働いている側も心を壊している。
山崎は自殺を図った。
エレナもアメリカの倉庫のセンター長になったとき、はじめは嬉しいしやりがいを感じたが3年目で眠れなくなったと梨本に語っている。
どうしてそんな働き方になってしまうんだろう。
必死の捜索で残りの爆弾を無事に処理。
犯人は2年ほどまえから週末にアルバイトとして倉庫に出入りしていました。
入念な計画ですね。
爆破された爆弾と無事処理した爆弾は計11個。
爆弾作りを依頼された人物いわく、12個の納品だったが1個は不具合があり自動で起爆できない、とのこと。
そして倉庫と配送所にある荷物はすべてチェックしたので、使われた爆弾は結局11個だったという結論に。
しかし1個目に爆発した商品が、他の爆発物混入した商品とは販路が違うことに、エレナと梨本が気づきます。
爆弾が混入された商品は、プリセール商品でブラックフライデーより前から注文できた商品。
その出荷が決まっていた商品に、犯人は倉庫で爆弾を仕込みました。
1個目に爆発した商品はデイリースマート社オリジナルのスマートフォンで、ブラックフライデー初日が初出荷。
欠勤していた犯人に爆弾を仕込むスキがないのです。
つまり1個目の爆弾は荷物に入っていたわけじゃない。
犯人が自分で持っていた爆弾を自力で爆発させた。
12個目がまだどこかにある!倉庫や配送所にはなかった、じゃあ配送済みの荷物!
ここらへんの緊迫感が「ザ・クライマックス」という感じですごかったです。
とある母子家庭のマンション。
忙しさに不在票に気づかなかった様子。
母子がマンションの宅配ロッカーをチェックするとデイリーファーストからの荷物が入っていました。
日頃から見知った顧客だったようで、連絡を受けた佐野親子(宅配人)が懸命に回収に向かう。
無理やりに部屋に侵入して荷物を取った佐野亘は、とっさに全自動洗濯機に段ボールを突っ込み密閉。
次の瞬間爆発するのだけど、洗濯機が煙を上げただけで周囲に被害は出ませんでした。
その全自動洗濯機の全面が映されるとびっくり。
メーカーは「HINOMOTO」
かつて亘が務めていた倒産してしまった会社。
モノはいいけどそれ故価格を下げることがあまりできず、安売りのメーカーに負け潰れてしまったというメーカー。
映画の序盤でそんな経緯で亘が父親の配送業見習いになった話があったんですよ。
そんな伏線とも思えない何気ない会話だったのが、ラストで急浮上してしかもこんなイイ仕事するなんて!
中で爆弾が爆発しても、周囲は被害ゼロってこの洗濯機強すぎません?
洗濯機の全面にまぁまぁでかい字で「HINOMOTO」とあるのはダサいな、と思ったのは内緒
警察の発表では5件の爆発で死者1名、傷者複数名ということでした。
この死者は結局犯人自身ということで、一般人には死者はいません。
ですがそれはただの結果論で、爆発の威力をみるとあと何人か死んでいてもおかしくないほどです。
実際、死ななくてもかなりの重傷だったはず。
デイリーファースト社を恨んだ行動としては、一般人を巻き込んだあまりにも歪んだ犯行で、犯人に同情する気がはじめは起きませんでした。
しかし、本当に最後のラストシーン。
渋谷のスクランブル交差点をバックに「want」の声がこだまします。
「want」「want」「want」「want」「want」「want」「want」「want」「want」「want」「want」
無数の「want」で交差点が埋まっていきます。
これは私達ひとりひとりの「欲しい」気持ち。
飽くなき欲望。
それを満たしているのがデイリーファースト。
ならば回り回ってしっぺ返し(爆弾)を食らうのも、一般人の私達、で間違っていないのだなと思いました。
アンナチュラルとMIU404が大好きなので、もう嬉しくてたまらないです。
ただあくまで主軸はラストマイル。
星野さんも「ちょっと出るだけ」って言っていたし、過度に期待はしていませんでした。
でもやっぱり出てきてくれるだけでうれしー
伊吹と志摩のバディ健在!
掛け合いが懐かしい!
いつもの彼らに会えてうれしい!
重要人物として浮かび上がってきた元社員の山崎。
彼のマンションに乗り込んだ伊吹と志摩。
マンションはもぬけの殻。
そこで伊吹に降りてきた野生の勘!
「なんかキュルッとする」
あぁ伊吹だ。笑
そして機捜には新入りが。
MIUの本編では高校生で出ていた勝俣奏太(前田旺志郎)が、しれっと機捜のメンバーになってる!
ちょろっとそこらへんの経緯が語られるのかと思いきやまったくなし!
でもそうか。
所見の人にとってはここで変に紹介めいたセリフがあると「ん?今の何?」って引っかかってしまうよな。
なくて正解!って思いました。
アンナチュラル組は爆破で亡くなった方の司法解剖で登場。
黒焦げの遺体だったので住人データ通りに男性のつもりだったのが、まさかの女性と判明。
専門用語は分からなかったけど、黒焦げでも解剖すると性別が分かるんですね。
結果歯型からその遺体は犯人の筧であると判明
エレナの推理を立証してくれました。
六郎も出演してたけどUDIラボ組とは別行動。
山崎の入院先として絡んできました。
UDIラボメンバーも昔の通りの雰囲気で働いていて嬉しかった。
ことあるごとに存続の危機にさらされている機関だから、昔のまま存続してくれてることにほっとする。
こちらも元気に働くメンバーの姿を見れて嬉しかったんだけれども!
欲を言えば1つだけ。
あと個人的に刈谷刑事と毛利刑事の掛け合いがツボで、クスッと笑えました。
ラストマイルの主役、エレナと梨本とアンナチュラルとMIUの主役級ががっつり絡むことはなし。
でも今回はあくまでアンナチュラルとMIUは枝葉であって主軸ではないので、これで良かったんだなぁと思います。
むしろ出演させてくれてありがとうです。
そして最後に一言。